『清国漂流図』 |
解説『清国漂流図』(早稲田大学図書館所蔵)は,文化11年(清嘉慶19年, 1814年)の序を有する全3軸の絵巻物(天地40cm×巻上2312.8cm, 巻中2217.4cm, 巻下2365.8cm)である。文化7 年(清嘉慶15 年, 1810 年)7 月に,那覇から薩摩に向かった薩摩の交易船長久丸が,嵐に遭遇して難破し,乗組員が揚子江河口付近に漂着して,清側の役人の取り調べを受けた後,同年12 月に帰国するまでの出来事が,乗組員のひとり森山貞次郎の証言に基づいて記されており、全編は,橋口善伯による序(漢文),日記形式の詞書30段,西清美等によって描かれた彩色図46段から構成されている。 『清国漂流図』は、日本漂流民の実状や、当該期における琉球民の位置付けを把握・検討する上での有用な資料であると同時に、江南の風物・生活文化をビジュアルに描き出した資料としても貴重である。この種の図像を伴う資料は中国側にも少ないので,たとえば地方志等に登場する事物の実態を知る上で,『清国漂流図』は有効なツールであると言えよう。 本アーカイブは,この『清国漂流図』の全編を,「日本大学文理学部学術フロンティア推進事業『デジタルアーカイブ・インフラストラクチャの構築と高度利用』中国文書等資料班(研究班代表:日本大学文理学部教授加藤直人)」における研究の一環として,同研究班の柳澤明(早稲田大学文学学術院教授)が中心となってデジタル化したものである。これにより,各巻の長さが20m以上もあり原本の通覧が困難だった『清国漂流図』に対して,はじめて本格的な研究の可能性が開かれたといってよかろう。 また,詞書の部分は,一日分の記事が1レコードを構成しており,図の部分は,図一点が1レコードを構成している。検索に関しては,フリーワード検索をはじめ,多彩な方法で検索が行えるようになっている。 ※本資料の原本については,早稲田大学図書館特別資料室(03-5286-1754)までお問い合わせください。 ※デジタル画像および検索画像内には、不適切な差別用語が使用されている場合がありますが、当時の社会実情勢を示すものとして、そのまま表記しております。ご利用の際は、この点、十分ご留意下さい。 凡例検索方法は、原点画像の表示と、条件指定で検索の、2通りを用意している。 (1) 検索方法*簡易検索では,インデックスのすべての項目を横断して,フリーワード検索を行います。 *詳細検索では,インデックスの項目ごとに検索を行います。
(2) 検索結果の表示*文字コードは,Unicodeを用いていますが,常用漢字体に置き換え可能な文字は,すべて置き換えて登録されています。Unicode外の文字は,「今昔文字鏡」のフォント番号で◆012567◆のように表示してあります。「今昔文字鏡」にない文字は〓になっています。検索時の異体字の同一視は行いません。 *「精細テキスト」をクリックすると,詞書のPDF ファイルが見られます。精細テキストは,常用漢字体への置き換えを行わず,原文に近い字体で作られています。Unicode外の文字も「今昔文字鏡」を用いて表示してあります。 *画像のサイズは天地800 ピクセル(jpg)です。「拡大画像」をクリックすると,天地2,000 ピクセルの画像(jpg)が見られます。なお,画像の大部分は,ブックスキャナを用いて作成したオリジナル画像を数枚つなぎ合わせた合成画像です。 *「関連データ」をクリックすると,詞書に関連する図,あるいは図に関連する詞書のレコードが表示されます。 |